今日は建築関係の「道路」の話。

建築コンサル業務で
これまでクライアントさんから受けた
相談の中で意外に多いのが敷地関係の
「道路」にまつわる相談。

道路と言っても一般の人には
ピンときませんよね

建物を建てる際、基本中の基本が
建築基準法43条の【接道義務】
「建物の建築をするための敷地は、
道路に2メートル以上
接していなくてはならない」

という法律。

つまり、
道路から対象土地に入る際の
間口が2メートル以上必要ということ。

この要件を満たさないと、
例外的な救済処置でもない限り
土地を購入しても家を建てられない
ということになります。

数年前、こんな相談がありました。

Mさんというクライアントさんが
袋小路の一番奥に位置する
築25年の中古住宅を購入して
建替えをするので相談に乗ってほしい
とのご依頼。

 

事情を聴いて現地に行ってみると
下記の図のように、建物の敷地が
道路に1.9Mしか接地してなかったのです。

 

 

これでは、建築基準法上、
建て替えはできません。

このように道路と敷地の関係は
中古住宅を購入する際には
重要なポイントになります。

 

他にはこのような事例もあります。

一般の人が最も解りにくい、
見えない顔をもった「道路」の話。

「位置指定道路」

いわゆる「私道」のことで
土地所有者が築造し、特定行政庁から
位置の指定を受けた道路のこと。

 

Tさんは一見、一般道路と
なんら変わらなく見える
土地を購入しました。

敷地は片側一車線の公道から、
幅員4メートルの道路を通り、
15メートルほど入った一番奥の敷地。

 

 

その敷地までは道路の両側に
4軒の住宅(A・B・C・D)が建っていたので
なんの疑いもなく購入したのです。

 

もちろん、Tさんの敷地は
冒頭に話したとおり、
2メートル以上道路に接地してたので
なんの問題もなかったのですが、
少し気になるところがありました。

 

ところが、
軒目までの道路は舗装してるのに
Tさんが購入した敷地から奥は
未舗装でした。

Tさんは仲介業者を通さず、
知人から安く購入したので
調査をしなかったのです。

私が調査して解ったことですが、
この敷地の未舗装の道路が

位置指定道路としては
未申請の道路だったのです。

Tさんは法律上、道路がない敷地を
購入したことになります。

Tさんはこのままでは
法律上、この敷地に建物を
建てることはできないので、
位置指定道路として
新たに自分で申請する必要があります。

ここで大きな問題があります。

Tさんのケースでは、
位置指定道路として申請するには、
すでに住んでいるA・B・C・Dの
住人の承諾がいるのです。

住んでいる人にとっては
環境が変わることに恐れがあるし
何かと負担する部分も出てくるので
承諾したくないのが本音でしょう。

Tさんは一軒一軒、住人の人たちに
自分で交渉しなければなりません。

道路にはこうした
見えない顔があるということ。

「知らない」の恐さは
知った後では遅い場合がありますから
土地を購入する際には、
専門家に相談するのが一番です。

 

 

【小さな実践】14/1000

敷地や中古物件を購入する際、
建築基準法の解釈は難解で一般の人が
専門書を読んだ程度では理解できない
検討する際には必ず専門家に相談する