数年前、
あるお客様が新築した時の話です。
そのお客様が元々住んでいた家は
お子様も幼く、オモチャや洋服が床に散乱し
足の踏み場もないくらい物が多く、
計画の打合せはいつもファミリーレストランで
食事しながら行なっていました。
そのお客様には、
「引越しの時がチャンスなので
とことん断捨離してスッキリした状態で
新居に入って下さい」と
ひつこいくらい言っておきました。
数ヶ月後、完成した新居の
パーティーに呼ばれて行くと、
不必要な家具もモノもなく、
まるで別人が住んでいるかのような住まいに
大変身していました(^^)
しかし、数年経って、
たまたま近くを通ったので
そのお客様のところへ伺ってみると、
お客様はバツが悪そうに私に、
「せんせ、一年もちませんでした」と。
中に入ってみると、見事に以前のように
モノが散乱した状態に戻り、家具も増えていまた。
あれ程、収納も多く設けていて
家族の変化と言えば、
お子様が成長しただけなのに・・・
何とも不思議なんですが、
これが家族の悪習慣なんです。
長年、建築業界に携わると
このような家族を多く知ることになります。
いくら打合せで出し尽くすくらい
話しても、実際に新居で暮らし始めると
次から次に問題が出てきます。
その原因は一つ。
建物の計画時に、現在まで家族全員の
生活習慣を家族が知らないところにあります。
それは何かというと、
生活習慣は近年で身についている他に、
幼少の時の生活環境やご両親の
価値観や人生観などが影響している
根深い生活習慣があります。
話は少しズレるかも知れませんが、
家族のライフスタイルは、
お子様の進学や就職・結婚・出産など、
人生の節目節目に変化を迎えます。
一口に「ライフスタイル」と言っても
その言葉の意味は幅広く、
衣・食・住に関する生活様式や行動様式
さらに人生観・価値観・習慣などを含めた
個人の生き方やアイデンティティーが含まれています。
ライフスタイルは、
家族と言えども微妙に違うし、
時間を追うごとに社会や人間関係、
環境の変化に伴って少しずつ変化します。
一般的なライフスタイルは
5年単位で大きくステージが変化すると
言われています。
例えば、
お子様の成長に合わせて考えると、
小さいころは豊かな想像力を育むために
ゆとり空間や、成長を見守るために
家族間のコミュニケーションが
近い間取りを考えます。
やがて、
お子様が思春期を迎えるころには、
プライベート空間や快適な学習環境を
整えるようになってくるでしょう。
このように、
お子様の成長過程だけをとっても
家族のカタチが変わります。
これからの高齢化社会では、
数十年前と比較して、
リタイヤ後に自宅で過ごす期間が
20年とも言われ、老後の生活環境の
変化に伴い、暮らしに合わせた
住まいが必要になってきます。
私が推進している
「良き家庭は良き社会を創る」は
住まいの環境をコンディショニングし、
さらに、家族のあり方や関係性を
コンディショニングする。
それを小さなところから
みんなが行なってゆけば、やがて
良循環が生まれてくると信じています。
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