私は数年前まで、
自分がしでかしたことに腹を立てる
ことが多くありました。

特にモノを購入して、それがうまく機能しない時、
厄介なストレスを持ち込んだ自分にイライラします。
 

私のイライラには、こんな期待値があります。
 

新品はすぐ機能して当たり前

購入時に店員が使い方を教えるべき

取説を誰にでも解りやすくすべき

 

このような相手に対しての期待値が
イライラの発生源です。

 

 

クレームは大きく分けると3つの要素があります。
 

モノの場合は製品レベルで、
不良品という製品そのものへのクレーム。
 

次は、製品の機能が複雑で使いにくく
取説も解りにくいといったような
使い方レベルのクレーム 
 

これらのクレームは
顕在意識で発生するクレームです。

 

しかし、尊厳レベルのクレームは、

店員の対応が悪かったりすると、
お客様自身が大切にされていないと感じるので
潜在意識の中に深く入り込んでしまいます。 

 
実際、製品や使い方のクレームは
お客様の欲求が明確に分かるので
対応はそんなに難しくありません。
 

一方、尊厳レベルのクレームになると
お客様が求めていることが解りにくくなります。

 

こちらの言葉使いや態度、行動などで
お客様の意にそぐわないことが原因で
ひと度、逆鱗に触れると噴火した火山のようなる
尊厳レベルのクレーム。

 
こちらは、ひたすら謝罪しながら、

お客様の振り上げた拳を降ろす、
「落としどころ」を作って差し上げることです。

 

 

これは私が、
数年間、死亡事故の原因調査という
特殊な仕事をしていた時のことです。
 

その中で、今でも
記憶に残る悲しい事故があります。

それは、 
 
母親がバックで自宅ガレージに入る際、
車両後部の死角にいた我が子を
轢いて死に至らせた事故。
 

死亡事故調査の仕事は、
必ず本人から事情を聴かなければなりません。

もちろん、当事者の奥様(被害者の母親)には
そんなことを聴ける状態ではありません。
 

その時のご主人は、怒りというより
泣きながら私にこう言いました。
 
「お願いだから後にしてほしい」

今でも思い出すと涙が出てきます。

 
その時は、
私もご主人と一緒に泣いてました。

しばらくすると

ご主人が冷静なり、
何故、すぐに聴取をしなければならないかを
理解してくれて、こんなことを仰っていました。
 

「調査が小橋さんでなかったら
この怒りのおさめ方が分かりませんでした。
何時間も共に泣きながら私の話を聴いてくれたことで
初めて自分がしっかりしなければと気付きました」

 
これはクレームとは質が違うものですが、
「落としどころ」というのは、考えて出るものではなく、
共感から出てくるものだと信じています。